こんにちは、Moccoです。
アクティブラーニングの話を聴いているとよくPBLという言葉が出てきます。
いろいろと調べて見ると同じPBLでも2つに別れます。
ひとつは、これから説明するProblem-based Learningです。
もうひとつは、Project-Based Learningです。
PBL( Problem-based Learning )とは
PBLとは問題基盤型学習といわれるもので、学生にテーマ(課題)を与えて、学生自らが取り組む学習スタイルである。学生は仮説形成、情報収集、分析、一般化、提言に至るまで一連の過程に取り組んでいきます。
PBLは仕事に似ています。仕事は事業計画に基づいて進められます。事業計画には、重点実行項目が策定されています。重点実行項目には、「テーマ」と「目標」が定められているだけで、具体的にどのように達成していくかは、社員に委ねられています。
つまり、PBLは社会人の実践力を身に付ける学習と言えます。現在、経済界から大学に対して、社会人基礎力の養成を求める声が強く、PBLは社会人基礎力を身に付けるために最も効果を発揮する学習スタイルでしょう。
ところが、大学教育でPBLが導入されたのは、社会人基礎力養成が目的ではありません。かつてのオーソドックスな教育は、基礎理論を学ばせ、それを事例に応用させる方法が取られてきました。初等、中等教育においては、教科書で基礎を学び、例題で応用を理解し、練習問題で定着させる、といったいったようにである。これは「学習転移モデル」と呼ばれます。
しかし、医学、歯学、看護学といった医学分野では、これまで蓄積された知識体系が膨大にあります。さらに、新しい知識が急速に生まれています。よって、学習転移モデルではとうてい追いつけなくなってきました。しかも、卒業後には学んだ知識を現場で応用しなければいけなりません。基礎理論、応用力に加え、実践力、課題解決力が必要になってきます。さらに、患者は人間であるから、症状には個人差があるります。習得した知識体系では理解できないような症例に出会うことがあります。そういった時は、情報を集め、知見のある仲間と意見交換し、時にはチームで事に当たっていくことになります。それらは知識ではなく、スキルであり、このスキルも身に付けておくことが求められています。
そこで、医学分野を中心として、理系学部ではすでに昔から取り組まれてきたので、効果やノウハウの蓄積も進んでいます。
日本歯科大学新潟生命歯学部のホームページには「近年の歯科医学・医療の急速な進歩と知識量の増加で、6年間における大学教育で全てを教えることは不可能になっただけでなく、教えられた知識はすぐに古くなってしまいます。このことは従来の講義形式に限界があるということを示していると言えます。PBLテュ-トリアルでは、自己学習能力の育成、コミュニケーション能力の育成、問題発見、解決能力の育成、生涯における活用技術の修得、情報収集能力の修得ができます。卒業後も生涯にわたり、自ら最新の知識を導入し、診療問題を解決していかなければなりません。そのためにもPBLテュ-トリアルは有効なのです。」とある。チュートリアルというのは、教員が少人数の学生を支援する教育である。
東京女子医科大学では「本学では、学生自身が問題意識を持つと同時に、自らの力で知識と技能を発展させてゆく「自己開発学習法」を中心に以下の教育を行う。第1学年から自学自習を主体とするテュートリアルを実施する。テュートリアルとは数名の学生を単位として、提示された問題をもとに学生相互の討議によって学習項目を定め、次いでそのための情報の調査・収集・選択・統合などをグループで進め、結論を導く 学習法である。 討議の調整と統合に助言するために1グループにテュータ(教員)1名を配する。また、 このなかで生じた問題点は講義または実習で補足し、解決していく。講義と実習は、自学自習を補うものとして位置づけ、余裕のある時間割とし、課題を解決するため学生自ら情報収集や技術の収得に努める。」とあります。(東京女子医科大学ホームページより)
大学教育もどんどん進歩
MBAの学部を持っている大学ではPBLを取り入れている授業は多く、学生はほとんどが社会人であるのでPBLのほうが慣れています。与えられた課題に対して、教授からあれやこれやと細かい指示はなく、自分たちで文献を探し、情報を集めてきて、討議し、とにかく結論をまとめていく。
だからといって、基礎理論を学ばないというわけではありません。とみかく本を読む。会計、ファイナンス、戦略、マーケティングは、理論が豊富だし、知識体系が構築されているから、出来るだけ多くの理論にあたったほうが良い。グループ発表やレポートが上手くできた時というのは、基礎理論をきちんと踏まえた上で、自分の独自の結論を出している場合だ。だから、グループで討議するワークと本を読む自学の両輪があってこそのPBLだと思います。本は読める以上に買ってしまう。ある教授から、「置いておくだけでもいい。毛穴から知識が入ってくる。」と言われたことがあります。
とはいえ、今の一番の「課題」は時間がないことです。この「課題」が解決できるPBLはないものでしょうか。