こんにちは、Moccoです。
2020年に東京オリンピックということで教育改革の話題がこのところあまりニュースで取り上げられていませんが、徐々に進んでいます。まだ、詳細がわからないところがありますが、背景と現状を整理してみましょう。
教育改革はなぜ行われるのか?
まず背景にあるのは、産業の変革です。第三次産業革命として、パーソナルコンピュータ、インターネット、情報通信技術(ICT)などが発達してきましたが、現在は、第四次産業革命としてロボット工学、人工知能、ナノテクノロジー、量子コンピュータ、生物工学、モノのインターネット(IoT)、3Dプリンター、自動運転車などの多岐に渡る分野において技術革新が進んでいます。社会で求められる人材は確実に変わってきています。例えば野村総合研究所が2015年に発表した「人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業」というリストがあります。
人工知能やロボットが発達した近未来の社会ではどんな仕事が残っているのでしょうか? 共通するキーワードは何かをこのリストから探ってみると、「コミュニケーション」「クリエイティブ」「スペシャリティ」の3つがあげられます。
では、これからの子どもたちに期待される、こうしたスキルを伸ばせるような教育を、今、学校はしているでしょうか? これらは、従来のように教科書に載っていることを教えるだけで獲得できる能力ではありません。新しい社会に適応していくためには「新しい学び」が必要なわけです。
これまでの教育は、知識をつけて覚える「インプット」が中心で、それをテストで再現できればよかった。これからはインプットしたものを、自分なりの考えで加工し「アウトプット」する力をつけることがカギになるということです。
我々の身の回りのもの、乗り物、電話など大きく変わってきましたね。
しかしながら、教育現場はどうかというと、未だに寺子屋スタイルで、全員前を向いて座って、先生が黒板の前で話をしています。
これからどう進んでいくのか?
教育改革によって学校教育がどのように進んでいくのかを整理してみましょう。
- 2019年度
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- 「高校生のための学びの基礎診断」が実施
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- 高校1年生に「探究」の授業新設
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- 中学校 学習指導要領の移行措置開始
- 2020年度
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- 「新学習指導要領」が小学校で全面実施
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- 小学校でプログラミング授業を開始
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- 「大学入学共通テスト」実施
- 2021年度
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- 「新学習指導要領」が中学校で実施
- 2022年度
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- 「新学習指導要領」が高校で実施
- 2024年度
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- 「新学習指導要領」での大学入試初年度
教育改革で変わる4つのポイント
教育改革で変わるものは大きく3つに分かれます。それは「学校教育改革」、「英語改革」、「大学入試改革」、そして、「プログラミング」です。それでは具体的にどうなるか整理してみましょう。
学校教育の変化
変化の激しい時代を生きるこれからの子供たちのために行われる教育改革。学校教育の場ではどのような変化が起こるのでしょうか?
まずは前提として「資質や能力など、どのような力を身につけるのか」そして「何ができるようになるのか」。この2点に踏み込んで教育の現場が変わっていきます。
これまでの教育では、知識や技能が評価の対象となっていましたが、これからは学んだことを自分で「考え」、「表現し」、「判断していくこと」が求められてきます。具体的には一方通行だった授業が、グループワークや調査学習などを通して、生徒自身が主体的に参加する授業や学習へと変わっていくのです。
アクティブラーニングという用語がきえましたが、問題を発見/分析し、そして、習った知識/技能を応用して問題を解決する能力を養うために小中高それぞれのレベルに併せてグループ学習、アクティブラーニング、PBLなどが行われていくのでしょう。
英語教育の変化
社会のグローバル化に合わせて、日本の教育現場でも英語力の改革が進みます。英語教育で変わってくるのは次の4つです。
① 英語の4技能を均等に育成する
② 小学3・4年生から外国語活動を開始、そして、小学5・6年生で英語を教科として英語学習をスタート
③ 中学・高校の英語の授業が基本的に英語で実施
④ 大学入学共通テストで英語の4技能評価に資格・検定試験が活用される
※ 4技能は「聞く、話す、読む、書く」の能力を指しています。
※※ 英語資格・検定試験はケンブリッジ英語検定、TOEFL、IELTS、英検など、高校3年生の4~12月で受験した2回までの結果が、大学入学共通テストとして利用されます。
大学入試の変化
グローバル化が進む社会では産業構造や就業構造も転換期を迎えます。また人口減少傾向にある日本で、生産年齢人口が減ってきているため、生産性のある人材を生み出すことが求められています。
大学では自ら課題を発見し周囲と協力して解決する力が養える教育が行われます。まずセンター試験が「大学入学共通テスト」に変わります。英語と数学で記述式問題が導入されますが、マーク式問題も従来の知識を問う問題だけでなく思考力を問う問題が出題されるようになり難易度が上がります。また、英語は4技能評価に資格・検定試験が活用されます。英語ではこれまで「聞く」「読む」の2つの技能が評価されてきましたが、今後は「話す」「書く」も加えた4技能均等に評価されることになってくるのです。
これにより単なる知識だけでなく自分で考えて答えを導き出す思考力などを測ります。また個別大学試験では大学の必要性に応じて小論文、プレゼンテーション、ディベートなどが課されるほか、学校推薦型選抜や総合型選抜でも学力評価が重視されるようになっていきます。
プログラミング教育の導入
2019年から小学校でプログラミング教育が必修化されると言っても、プログラミング言語を用いてプログラムを記述する「コーディング」を中心に教えるわけではありません。課題を解決するためにはどんな手段が必要なのか、その手段をどんな順番で実行するのが適切なのかという「プログラミング的思考」を学ばせるのが狙いです。
小学校向けの学習指導要領では文字入力などのコンピューターの基礎操作を習得することや「児童がプログラミングを体験」することが求められています。
では、どのような授業が行われると予想されるだろうか。小学校では、既存の科目の中にプログラミング的思考を刺激する授業が取り入れられます。例えば理科の時間に、人が近づくと点灯するライトなどの暮らしに役立つプログラムについて考えさせる。専門知識がなくても扱えるソフトウェアでコンピューターにどのような「命令」を与えればいいかを話し合わせる、というように、正解よりも物事を整理して論理的に考える過程そのものに重点が置かれると思われます。
中学校では、2021年度から「技術・家庭科」の技術分野が拡充され実践的な技術と知識を習得することになります。生徒がプログラムを制作し、動作を確認する授業が行われ、バグ(プログラムの誤り)を見つけて除去する「デバッグ」という作業にも焦点が当てられます。そして、情報通信ネットワークの仕組みなども学ぶことになるようです。
高校では2022年度から、必修科目「情報1」でプログラミングに関する授業が高度化します。社会課題の解決について考える授業では、人工知能や画像認識など社会で広く活用されるテクノロジーを利用したソフトウェアを開発することもあるでしょう。
大学入試では2024年度から、大学入学共通テストにコンピューターを使って受験する「CBT(Computer Based Testing)」方式の導入やプログラミングを含んだ「情報1」を入試科目にするかどうかも検討されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。2020年教育改革は、幼児教育から高等教育までを通じて未来社会でやっていける能力を育成することを目指しています。幼稚園については書きませんでしたが、文科省は幼児教育を教育改革の優先課題として2018年から取り組みを始めています。幼稚園施設内だけではなく幼稚園などの施設以外でも生涯学習振興施策などを通じ、教育力の向上をはかれるように、今後、生活の場である家庭環境と、発達や学びの場である地域社会や幼稚園施設の3者の連携が密にして子どもの成長を支えていけるように整備を進めていくことになっています。
小学校や中学校で学ぶことは、新指導要領に準拠した教科書を見て見ないと具体的にはわかりませんが、私たち大人がこれまで学んできたような教育方法から少しずつ変わっていくことになります。
高等学校では、新高校2年生が新しく導入される大学入学共通テストの初年度生徒となりますので、プレテストで示された思考力をみる問題や記述問題、そして、英語の資格・検定への対応すべく取り組みを始め学ぶ内容が変わってきています。
これからの時代、子供たちが新たな学習により専念できるよう、教育改革でどう変わっていくのかを捉え、教育をサポートできるようになることが親に求められてくるのではないでしょうか。これからも新しい情報が出ればアップしていきますので、また、ブログをのぞいて下さい。