こんにちは、Moccoです。
PBL ( Project-Based Learning )は主に大学で取り入れられています。
産学協同という言葉を聞かれたことがあるともいますが、行政・企業が抱えている問題をテーマとして問題解決に取り組むケースが多くみられます。
プロジェクト型学習とは何か?
① 学習者の主体的な学習を促している。
② ある問題を解決する、もしくはあるプロジェクトを完成させるといった「問題解決事態」の中で学習を進める。
③ 集団での問題解決活動が含まれている。
つまり、「学生がグループで主体的に課題に取組み、課題解決をする学習形態である。」「主体的」であるとは、テーマは与えられるが、自分たちでどのように取り組むかを計画し、調査・研究・活動・分析・まとめ・発表という「活動」が不可欠。活動しなければ成果が得られない。講義を聞いていれば知識が入ってくるわけではない。静的ではなく、「動的」な学習である。
プロジェクト型学習の「プロジェクト」とは何か?
「プロジェクト」は企業や行政で盛んに行われている活動であるが、以下の特徴がある。
1. 期限が決まっている。
情報システム構築であれ、企画提案であれ、スケジュールのデッドラインは決まっている。デッドラインを超えると、それを前提にして組まれている業務が全て狂うことになってしまう。契約違反になり、損害賠償請求の対象にもなりえる。約束の期限内で完了することが求められる。
2. 「成果物」を創造しなければならない。
プロジェクトの目標は「成果物」である。成果物には「有形物」、例えば、商品やデザイン開発、パンフレット、DVDを作ることが考えられる。また、企画書、提案書、報告書などの「文書」である場合もある。形の無い「無形物」も目標になる。例えば、子供向けの教育プログラムを開発し、そのプログラムを子供たちに提供するといったことや、町内の商店街を活性化するための催し物を計画し実行するといったことも考えられる。いずれにせよ、何かしらの「成果」が目標として設定され、それを期限内に達成しなければならない。
3. チーム・マネジメントが必要である。
グループで活動をするので、組織をマネジメントする必要がある。マネジメントの対象となるのは、「人」と「活動・進捗」と「成果」である。メンバーに役割りをアサインメントし、目標を共有し、細かな点を含めて、メンバー間の様々なことを調整しなければならない。リーダーシップとチームワーク、フォロワーシップが大切になってくる。そして、活動、進捗のコントロール。成果の見通しをつけて目標との乖離を埋めていく。面倒な問題も多く発生してくるので、1つ1つやっていくと手間がかかる。
4. リスク・マネジメントが必要である。
スケジュールが予定通りに進まないことや成果物の品質の目標と現状との乖離が大きくなりすぎて、リスクがクライシスにならないように、ヘッジとコントロールをしていくことも必要になってくるだろう。問題点をお互いに共有して、対策を打っていく軌道修正だ。
5. コミュニケーション力が不可欠。
私が大学生の頃は、大きな教室で先生が講義をし、それをノートにまとめることが大学での授業でした。後は、研究室や図書館で本を読んでまとめることでした。コミュニケーション力は大学の授業では必要ありませんでした。サークルとかアルバイトでは必要であったが・・。
社会で行われているプロジェクトを大学教育の場で体験することで、プロジェクトで遭遇する多くの体験ができます。プロジェクトマネジメントに必要な複雑で難しく面倒な問題を解決していく能力も身につくかもしれない。例え、身につかなくても、社会で求められる能力のイメージをもち、現状で不足しているものを認識し、努力のきっかけにすることができるので大きな意義を持っていると思われる。
「教育目標について」
教える側にとって「教える」とは言っても、プロジェクト型学習は学生側が主体となって学んでいくものであるため、「ファシリテート」といった役割を持つことになります。
「教育」であれ「学習」であれ、「学び」には「目標」が必要です。教育目標、到達目標、学習目標といったいろんな言い方がされますが、要は「何を学ぶのか」を明確にしておくということです。学生とも共通の認識をもっておくことが重要と考えられます。
プロジェクト型学習の教育目標については、多くの大学での実践によって、概ね次のように集約されています。
問題発見、問題解決について学ぶ。
さらに具体的に分類すると、
① 計画力、企画力
② コミュニケーション力、交渉力
③ 問題を整理する力、分析する力
④ コントロールする力:スケジュール、品質、予算または経費、リスクに対する管理力
⑤ 組織運営力:リーダーシップ、フォロワーシップ
⑥ 行動力、協調性、助け合い精神
これらの力は、経済産業省が提唱する「社会人基礎力」、厚生労働省の「就職基礎能力」に通じるものと言えます。学校だけでなく、社会でも有用な力という意味で「普遍的」な力、「ジェネリック・スキル」ともほぼ同じと考えてよいと思います。企業の人材育成では、「ポータブルスキル」とか「ビジネススキル」という言い方もされます。
まとめ
プロジェクト型学習では、与えられたテーマ・課題に取り組んでいくわけですが、決まりがあります。グループで取り組むこと、期限が決まっていること、成果を出さなければならないこと、学外の社会資源と連携・協力することが求められていること、こういった前提条件があるおかげで、上記の①から⑥は「やらざるを得ない」ことになります。つまり、プロジェクト型学習には、問題発見・解決力を発揮しなければ前に進まないよう課題が選定されているということです。
そして、社会で取り組むプロジェクトは、そこには事業とか業務についてですので、企業の利益は外せませんし、社会の動向、消費者の感情といった「現実世界」をベースにする必要があります。理論よりも現実、理想よりも現実を優先する場合が出てきますし、企業が存続し続けるためには、当然のこととなります。
これらの活動は海外の大学では積極的に取り組んでいます。日本でもやっと、社会での必要とされるスキル、実践力を学問と連動させながら学んで身につけていくという授業が始まり、これからさらに、大学本来の研究へとつながっていって欲しいものです。