こんにちは、Moccoです。
このところよく耳にする専門職大学とはどんな大学でしょうか?
それは、既存の大学と専門学校のいいところを組み合わせた大学です。
ある決まった専門分野の職業に就くために必要な知識、技能、問題解決能力などを理論的に学びます。また、長期の企業内実習(インターンシップ)をはじめ、実践的な科目も多数用意されます。専門職大学以外に、2年制・3年制の専門職短期大学、従来の大学・短期大学の中に学科を置く専門職学科の制度もつくられました。
専門職大学で身につけられるのは、高度な「実践力」と豊かな「創造力」。大学卒業後、その道のプロフェッショナルとして優れた技術を持ち、新しい技術やモノを生み出していける人材を育てる大学なのです。
なぜ専門職大学ができたのか?
社会の変化を踏まえ、大学の教育も変わる必要があったからです。
最近よくAIに関する話題を耳にしますね。AIをはじめとした科学技術の進歩はめざましく、第四次産業革命とも呼ばれています。これからの社会は、こうした技術を使いこなし、今はないモノやサービスを生み出していける人材が求められます。しかし、そうした人材を企業が独自に育てるのは難しい。だから企業は大学に対し、実社会とのつながりを意識した教育や、変化の激しい社会に対応した人材の育成を求めてきました。
大学も変化の必要性を感じていました。かつては大学といえば学術研究を行う場でしたが、進学率が高まり、さまざまな人が大学に入学するようになって、今は研究者を育てる大学、専門分野に特化した大学、地域で活躍できる人材を育てる大学と、求められる役割を踏まえて各大学が特色を出していくことが求められています。
こうした社会や企業からの要請と、大学の変化の必要に応えるために、質の高い実践的な職業教育を行う新しいタイプの大学として“専門職大学”が生まれることになったのです。
大学や専門学校との違いは?
まず、専門学校とは「学校としての位置づけ」が違います。
専門職大学は“大学”ですから、学校としての基本組織やカリキュラムの構成は従来の大学とよく似ています。教える教員の半数以上は研究者としての顔を持っていますし、卒業時には従来の大学と同等の「学士(専門職)」の学位が与えられるという点で、専門学校とは違っています。
次に、従来の大学とは「学ぶ内容」が違います。従来の大学は学問を中心に教えますが、専門職大学は専門分野の職業人に求められる知識や技能、問題解決能力などを中心に教えます。
専門職大学は従来の大学と同等の学士(専門職)の学位がもらえる。(専門学校でもらえるのは専門士)
専門職大学の教員は研究者でもある。(専門学校の教員は研究者が少ない)
専門職大学は職業について学ぶところ。(従来の大学は学問を学ぶところ)

では、具体的にどのように学びを深めていくのでしょうか。
カリキュラムの特長は?
専門職大学のカリキュラムには4つの特長があります。一つずつ見ていきましょう。
教育課程連携協議会
カリキュラムを検討する会議の一つです。この会議は、看護系なら看護師、IT系ならIT企業など、学ぶ分野の職種・業界の方や地域の関係者も委員として参加しています。その業界で活躍しているプロフェッショナルなどに意見してもらうことで、より実践的なカリキュラムをつくることができると考えています。
4つの科目群
専門職大学のカリキュラムは、「基礎科目」「職業専門科目」「展開科目」「総合科目」という4つの科目によって構成されます。
•基礎科目…外国語やICTといった、さまざまな職種を通じたキャリアアップの基礎となるリテラシー科目など、従来の大学の教養科目にあたる科目です。
•職業専門科目…学びの中心にあたる科目です。例えばIT系ならソフトウェアやシステム設計を学んだり、長期の企業内実習(インターンシップ)を通して実際のシステムの運用方法を学んだりと、その分野全般にわたり必要な能力を理論と実践の両面から身につける科目です。
•展開科目…仮に農業を例にすると、経営のことや作物の加工や流通のことまで知っておいた方が広く活躍できますね。そうした専門の分野に関連する他分野の応用的な能力を身につける科目です。
•総合科目…従来の大学の卒業研究・卒業論文にあたる科目です。それまでの授業などで身につけた知識や技術などを生かしながら取り組む総まとめの科目となります。

長期の企業内実習(インターンシップ)
専門職大学では、実に40単位分の授業を実習で行うこととしており、そのうち20単位分を長期の企業内実習(インターンシップ)に充てることが定められています。時間にするとおよそ600時間相当以上。企業と大学が連携して学ぶ内容を決め、企業の中で実務を学ぶ本格的なインターンシップです。ただし、そのうち5単位までは、大学の中で企業と一緒に課題に取り組む演習や実習の科目に代替することができます。
実務家教員
専門職大学の教員は研究者だけではありません。教員の4割以上が“実務家教員”と言い、想定される進路先の実務経験と優れた実績を持った人たちです。実務家教員の半数以上は大学の教員になったことがある、修士以上の学位を持っているなど、研究能力を持っていることが条件とされています。
今後はどんな分野の専門職大学がつくられる予定ですか?
既に申請のあった大学を見ると医療系の分野が目立っていますが、今後は情報技術系の分野にも期待したいところです。日本全体で人材が不足しており、育成が急務です。単にプログラミングや情報セキュリティの技術を身につけるのではなく、新しいシステムの開発など、この分野の新しい道を切り開けるような人材をが育つ機会が増えてほしいですね。
次に、農業系の分野にも期待しています。今農業の分野では、作物の栽培だけでなく加工や流通まで手がける「六次産業化」が盛り上がっています。農業+αの力を身につける場として、専門職大学はぴったりでしょう。
最後に、アニメやゲーム、和食など、いわゆる“クールジャパン”に関わる分野にも期待しています。日本発のモノが世界的な注目を集めている分野であり、こうした分野を産業として発展させられる人材の需要が高まっているからです。
専門職大学はどのような人に向いていますか?
就きたい職業が明確に決まっている人にオススメします。そうした人にとって、長期の企業内実習(インターンシップ)をはじめとする実践的なカリキュラムは魅力的に映るでしょう。また、専門高校に通う生徒さんにとっては、高校で学んだことをさらに深められる場所になるはずです。
まとめ
専門職大学は一度就職してからでも大学に進むことはできます。従来の大学以上に、専門職大学の門は広く開かれており、社会人の入学者も増えていくでしょう。高校卒業後、大学に進学したり、就職したりする。そうして社会人になってから、必要に応じて専門職大学で学び直すこともできます。
大切なのは、みなさんが今後の人生でどのように学び、どのように生きていきたいか、高校生の間にしっかり考えることです。より豊かな人生設計ができるよう、ぜひ今回紹介した専門職大学について覚えておいてください。